デリケートゾーンの痒み

デリケートゾーンは、皮膚が薄く
また体の調子や外的な環境の変化にとても敏感な部分です。
その上、形も複雑なので、汚れが落としにくいという特徴もあります。

 

日本の女性は、国民性もあるかと思いますが
デリケートゾーンの話をすることは恥ずかしいことだと考えている方も少なくないと思います。

 

また、綺麗好きな方も多いので
ゴシゴシと強く洗ってしまうことでのトラブルもよく耳にします。

 

ヨーロッパやアメリカでは、デリケートゾーンのお手入れはとても一般的で
家庭ではお母さんから子供へ伝えられ
学校でも教育の一環として取り入れられているようです。
また、デリケートゾーンのケア用品も、ごく一般的に市販されています。

 

デリケートゾーンのお悩みでよく相談を受けるのは、かゆみやにおいです。

かゆみの原因は大きく分けて2つあります。

①かぶれ(接触性皮膚炎)

かぶれは、接触性皮膚炎ともいい、デリケートゾーンに触れるものの影響で皮膚が炎症を起こしてしまうことです。

 

ナプキンやタンポンが合っていなかったり

ショーツやタイトなボトムスで摩擦が生じたり

経血や汗によってむれたり

逆に乾燥したりすることが、かぶれの原因となり得ます。

つまり、この状況を避けることが症状の改善につながります。

②感染

かゆみを伴う感染症でとても多いのが、カンジダ菌です。

カンジダ菌はカビの一種で、口の中・腸・腟に常に存在していて、感染力は弱いので通常は人体に影響を及ぼしません。

しかし、体調不良や抗菌薬内服によって常在菌のバランスが崩れてしまうと、皮膚や粘膜の湿った部分で増殖してしまい、かゆみなどの症状を引き起こします。

腟内には、乳酸菌の仲間が常に存在していて、腟を弱酸性に保ち雑菌が侵入しないように守ってくれています。腟内やその周囲が弱酸性でなくなると腟の自浄作用が低下し、感染しやすくなります。

腟の自浄作用が低下すると、普段は感染力の弱いカンジダ菌が異常に増殖しかゆみなどの症状が出てくるというわけです。この状態をカンジダ腟炎といい、適切な抗菌薬や塗り薬を使って治療を行います。

デリケートゾーンのただしいお手入れ方法

デリケートゾーンのトラブルが起きにくくするためには、ご自身のデリケートゾーンをきちんと理解してあげることと、日々のケアが大切です。

陰核(クリトリス)の周りや、大陰唇と小陰唇の間が洗いにくく、汚れが溜まりやすいです。お風呂でデリケートゾーンを洗う際は、汚れがたまりやすい部分を意識して、優しく洗ってあげてください。

ごしごしと強く擦って洗ってしまうと、皮膚や粘膜を傷つけてしまうので注意しましょう。

 

腟の中を指などで過度に洗ってしまうと、乳酸菌が洗い落とされたり、手指についた雑菌が混入することで、弱酸性のバランスが崩れたり、感染の原因となってしまうことがあります。

 

また、体の皮脂を落とすことを目的としたボディーソープは

脂成分に馴染みやすいアルカリ性であることが多く

弱酸性でなくなることで乳酸菌が死んでしまい

自浄作用が低下してしまう可能性があります。

デリケートゾーン専用のもの、弱酸性のものを使用しましょう。

 

まとめると

①汚れの溜まりやすい部分を意識して(腟内以外)

②ゴシゴシと擦らずに優しく

③デリケートゾーン専用(もしくは弱酸性のもの)を使って洗うことが大切です。

 

そして、かゆみやにおいなどの異常があったら

まずは婦人科の医師に相談してみてください。

原因を確かめた上で、それに合った治療をすることが

症状の素早い改善につながります。

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Eriko.0
産婦人科専門医であり、主に10代〜50代の年齢によって変化する女性の心と体の悩みの相談・治療に携わる。診療以外にもYouTubeチャンネル『産婦人科医 おいたえりこ』で情報発信を行い、動画内に寄せられたコメントには全て個別に対応している。また、ジャズシンガーとして都内や宇都宮を拠点に精力的に演奏し、そのライブ収益の一部は母子支援団体やボタンティア団体に寄付している。